年金繰り下げ75歳は本当にお得？
年金繰り下げ75歳まで。
そんなことが可能になりました。
繰り下げ１ヵ月あたり0.7%の増額。
標準の65歳から10年も繰り下げると？
なんと受取額は1.84倍にもなってとってもお得！
そんな数字の解説をちょこまか見かけます。
年金運営に余裕があるとも思えません。
なぜ国はこんな大盤振る舞い制度を作ったのか？
そして本当にお得と言えるのか。
ちょっと斜め視点で考えてみます。
仮説１：亡くなる人も多いので大差ない理論
厚労省HPの令和３年簡易生命表によると、60歳時の平均余命は男性が約24年、女性が約29年だそうです。
年金受給可能となる60歳時点から見れば、男性は平均84歳、女性は平均89歳で亡くなるということでしょう。
出生からの全年齢で平均する平均寿命よりは確度の高い情報かもしれません。
年金受給タイミング４通りで受け取り総額がどうなるかシミュレーションしてみます。
84歳まででグラフを引いてみると・・・
仮説２：財政難先送り理論
色々大変だけどあとは将来の担当者に任せる！
そんな感じで先送りしているだけかもしれません。
10年20年先の事なぞ知ったことではありません。
そしてある日突然言われるわけです。
ひたすら繰り下げていた皆様申し訳ありません。
年金制度維持のためには仕方がないのです。
そんな感じで頭を下げつつしれっと減額改定狙いというのはあり得ないでしょうか。
仮説３：損して得取れ理論
年金受取額を増やすことで高所得者に！
何より医療費は歳を取るほどに上がります。
年収が上がれば保険料もしっかり取れますし毎度の医療費も３割負担してもらえるかもしれません。
高額療養費の金額も変わりますね。
つまりこれは罠？
税と社会保険での回収を見込んで繰り下げはお得！とエサをぶら下げて釣ろうとしているのかもしれません。
自分で頑張る年金運用と比べてみる
手持ち資産で暮らせちゃう。
年金は受け取っても余っちゃう。
そんな恵まれた人達は一体どうするのでしょうか。
せっかくなので年金をみんな大好き4%で運用してみることにします。
条件として・・・
・75歳までは手を付けず年率4%運用
・75歳以降は運用は継続するも65歳年金を1としての1.2ずつ取り崩し
要は自前年金ファンドです。
計算してみるとこうなりました。
分かりにくいので数列も貼ります。
75歳繰り下げ受給は大きく見劣りする結果です。
女性の60歳時平均寿命89歳時点でも似たような傾向です。
99歳時点を見ると最も優位なのは70歳までの繰り下げです。
75歳までの繰り下げはとってもお得理論は何かの間違いだったのでしょうか。
これはいけません。
とんでもないシミュレーション結果です。
銭ゲバ志向のオトナとしてはどういう戦略を取るべきなのか。
せっかく75歳まで受け取り我慢して繰り下げたのに99歳時点でも負けているのはどういうことなのか。
誰よりも一番お得じゃないと意味がないのに！
繰り下げお得論はもしや年金財源保全のためのプロパガンダではないのかと疑念すら沸いて・・・
なんてことをふざけて書いてみましたが。
75歳以降で差し引く1.2を1.5あたりにすれば結果はまた大きく変わります。
運用利回り安定4%なんてのも適当な数字です。
何より働いても生活がカツカツであれば繰り上げてとっとと受け取るしかないのでしょう。
繰り下げに悩めるのは余裕のあるお金持ちのみ。
要は贅沢な悩みです。
とっとと繰り上げて自前運用してもよし。
ひたすら繰り下げて長寿保険として使うもよし。
ぶっちゃけどっちもありですし考え方次第でしょう。
自分はどうしますかね。
早期から使える価値が大きいと信じて繰り上げ？
年金は最後の手段で保険と割り切って繰り下げ？
今の時点では決め難いですね。
もしも75歳までは年金に頼らず暮らせるとしても制度改悪リスクに悩むくらいなら繰り上げは１つの手かもしれません。
繰り上げ減額で年100万円程度になったとしても75歳までの15年で1500万円。
将来の景気なんぞは到底読めませんが、投資用マンション買って手取り6%で年90万円取れるならそれはそれです。
残される家族にとっては自分が亡くなれば遺族年金は1.84倍にはなりません。
であればとっとと受け取って資産として手元に残した方が安心かもしれません。
何より自分が70歳を越える頃の世の中は？
社会弱者たる老人優遇の社会保障を維持します！
現役世代の皆様、より一層の負担増を願います！
こんな政策を続けられるとは到底思えません。
自分が年金事情に直面する遠くて近い将来で。
繰り上げ繰り下げどっちがお得？
そんなことを呑気に悩める状況が続いていると良いですね。
