日本は貧しくなったんですよ
会社の雑談で。
若手がボソっと言うのですよ。
「給料は上がらないし物価は高くなるし」
「昔と今とじゃ全然違うと思いますよ」
「今は車も家も到底無理ですよ」
「日本は貧しくなったんですよ」
・・・どこかで聞いたか読んだかの様な台詞です。
なるほどな~と相槌を打ちながら考えます。
確かに最近は少々インフレ気味。
物価高が騒がれていますし。
税や社会保障が重すぎる!とも言われていますし。
とはいえ。
そんなに昔は良かったのでしょうか。
~
例えば1980年代。
食材雑貨に税に社会保障負担は確かに今より安いのでしょうか。
そして当時は家や車を誰もが気楽に購入出来ていた?
そんなことはないでしょう。
背伸びをしてのローン購入が当然のはず。
そしてローンの金利は?
今とは比べ物にならない高金利です。
町内のリタイア世帯の方と雑談をしたこともあります。
家は今よりも高かった。
そして金利も高かった。
ローン金利の積み上げを考えてみればどうなのか。
3000万円4%30年のローンを組めば総支払額5000万円オーバーです。
ちょっとした割安ネタはあっけなく帳消しです。
ほとんどの庶民にとってどんな時代だったのか。
到底お気楽生活だったとは思えません。
父は長らくローンを払っていましたし。
母は長らくパートを続けていましたし。
それでも相続財産なんぞは欠片ほども残ってはいませんでした。
例えば2000年代。
世は不景気真っ只中。
デフレが続く最中でしょうか。
物価は確かに安くなります。
マクドナルドハンバーガー100円以下を経験したのもこの頃です。
あの手この手の景気刺激策が続くも景気は低迷。
そして金利も住宅も安くなります。
住宅ローン控除が話題になり始めたのもこの辺りからでしょうか。
それでもドットコムバブル崩壊にリーマンショック。
不景気真っ只中です。
良い時代だった?
そんな風に語る人はそれほど見ない気もします。
そして2020年代。
税や社会保障負担が重すぎる!
インフレが苦しすぎる!
日本は貧しくなった!
・・・
ほんの10年を振り返れば株も不動産も大安売りの大チャンスでした。
金利も当然大盤振舞の低金利。
家を買ってローン控除でお金を増やそう!
株や不動産に投資をしてみよう!
一部ではそんな話題もあった様に思えます。
とはいえ世間の大多数はそんな話題には一切の無関心。
ライフイベントで家を買うタイミングだった人達だけは結果的には割安時期で不動産を購入出来たと思えます。
~
当時はそれがチャンスだとは分かりません。
チャンスは振り返った時に初めて気付くものなのでしょう。
どこかで聞いたか読んだかの様な言葉でぼやいていた若手。
それは本当に自分の言葉?
日本は貧しくなった?
円安のこと?
インフレのこと?
税や社会保障の負担のこと?
確かに今と昔は違うのでしょう。
それでも当時を生きた人達が「当時は豊かで最高だった!」なんて言うとは思えません。
当時の方が恵まれていたはず?
都合の良い情報だけを切り抜いて比較して羨んでいるだけでは?
そして今後はどうなるのか。
未来から見る2020年代は一体どんな時代なのか。
それは誰にも分かりません。
2020年代。
10年後20年後から見れば大いなるチャンスだった。
そんな風に羨まれる時代なのかもしれません。
結局は今を足掻き続けるしかないのでしょう。